3月1日 筋肉ってなんだろう

ニレとイーダは、ちょっとしたことからご縁ができた、小学校で一緒になる新しい友達たちとキッザニアへ行った。

土曜日は1日東京出張、日曜日は子供を連れてキッザニア。妻には本当に頭が下がる。しかし、かくいう私は、妻に秘め事を一つ作ってしまった。

彼女が子供サービスをしている間に、ゴルフのレッスンに初めて行ってしまったのである。場所は芦屋駅前の、とあるゴルフスクール。10年前からそこに有ることは知っていたのだが、まさか自分が行くことになるとは思わなかった。

今回行ったのには理由があって、それはここ数ヶ月間一人で考えていた「右打ち・左打ちどっちを選択するか問題」についてプロの意見を聞きたかったのである。

金曜日の時点で、私は午前中に予約を入れていた。妻よすまん。

予約の時点で、「10年以上前に右でやっていて、久しぶりに練習だけやっているんですけど、左でやるか右でやるか迷ってるんです。今は基本、左で練習してます」

とだけ伝えていた。

結論から言うと、私はこれから左を中心にやっていくことになった。
左右のスイング(9番アイアン)をみた後のY先生の意見は、以下のようなものであった。

・左右ともバックスイングの形は大体よい。
・しかし、右スイングはトップまで持って行くときに右の腰が外にスライドしてしまい、ダウンスイングで右膝が左へ突っ込む。
・そのため、クラブヘッドが外から入ってきて、アウトサイドイン軌道になっている。
・一方左スイングは、ダウンスイングでクラブがボールのインサイドから下に落ちてきている。
・左でも、「振れて」いる。

以上。

Y先生は、私が来る前は、

・用具が圧倒的に右の方が多いこと
・練習場でも左打席は少ないこと
・単に「右スイングが上手くいかないから左に変える」という安易な理由だったら、右の練習を重ねていった方がよいこと(左で一から始めるのは大変)。

という理由から、基本右打ちで続けることを勧める方針でいたらしい。

私としては、前からここで書いてきたように、武道の稽古を続けてきたことで、(自分の身体観察能力がちょっとましになってきたからなのか)左を試してみたいという気持ちが出てきたのだった。

安易といえば安易なのだが、とにかく身体を使って実験してみたかったのである。私が確かめてみたかったのは、私の左脚の筋肉の弱さと、左股関節の痛みをどのようにカバーするかということである。

2014年の12月頭に10数年ぶりに右打ちでスイングをしてみると、フォロースルーで左の股関節に痛みが走り、また筋力が弱いせいで上手く左側の壁が作れず、球が右方向にプッシュするか、スライスばかり出ていた。

10年以上前のラウンドでの悲しい記憶(ここ一番での池ポチャとか、OBとか)が、練習場でよみがえってきた。私はこれが、左の脚の筋肉の弱さと股関節の弱さが原因だと考えたのである(10数年前の私は、悲しむことはできたが、その悲劇の理由について考える術を持っていなかった)。

そこで、もともと脚の筋肉が強い(大腿二頭筋が左に比べてかなり発達している。左右の筋肉の付き方が違うというのはあまり格好良いことでは無いが、事実だから仕方が無い)右脚を利用して右脚を壁にすることで、バランスよいスイングがうまれるのではないかと考えたのである。もともと左利きなので、左手で、クラブフェースのイメージも持ちやすいのではないかとも思った。

私が右打ちでゴルフをやっていたころのレベルは、1,2回スコア100を切ったことがある程度である。1998年から2000年頃まで。上手になりたいとは思っていたが、どうも気持ちよくボールを打つことができずにいた。どう考えてもゴルフはもっと気持ちがよいものなはずなのに、私はそのような気持ちをゴルフから得られずにいた。そのうちに、私はまなじりを決して勉学に励むことを決意し、盛岡を離れて大阪にやってきた。

そう、私はゴルフとは縁を切ったつもりだった(そのわりには、クラブだけはしっかりと引っ越しのときに持ってきて、押し入れの奥でずっと眠っていたのだが)。

試しに左で打ってみたときは、やはり最初こそ球を上手にヒットできなかったが、練習場に2回くらいいくと、一応ボールには当たるようになってきた。ただ、飛距離は右に比べて極端に短かった。これが12月末くらいのことだろうか。

その後は仕事が忙しくなり、練習は、リビングでの素振りだけになった(週に数回程度。クラブで、ダイニングの木製の椅子の端を欠けさせるという惨劇も起こった。妻にレッスンのことを言い出せないことの理由には、こういう経緯もある)。

左でのスイングは、とにかくフォロースルーで左の股関節に痛みがでない(左打ちだとフォローで股関節をたたむのは右だから)。気持ちよく振れるのである。

今まであまり練習をしていない左打ちだったから、力を抜いてスイングするということも、イメージしやすかった(力を抜いたスイングは、合気道の体術と木刀の素振りの感覚を大切にしている)。

練習場には数ヶ月行けていなかったのだが、27日の金曜日に久しぶりに練習場に行ったとき、素振りの効果があったのか、左スイングの球の捕まりが結構よくなっていた。しかし、面白いことに、普段左スイングばかりやっているのに、ときどきやってみる右打ちがとても良くなっているのである。右打ちで、ヘッドスピードも上がっているし、球もよく捕まる。なんか、右で打つと、力強いのである。「ブン」というスイングの音も、右の方が左よりもシャープだ。

今後も右打ち左打ち、両方練習していくことはしていくのだが、最終的には右の方がやっぱり良いのかなとも思い出してきた。

そこで、今の時点でどちらのスイングの方がいいのか、思い切ってレッスンプロの意見を聴くことにしたのである。

そして本日、その結果が出た。

左のほうがスイング軌道がよいということだった。右では下半身のぐらつき(バックスイングで右腰が右にスライド、逆にダウンで右膝が突っ込む)から、右肩が外から回ってきて、どうしてもアウトサイドイン軌道になってしまう。それに対して、左は、クラブを振れている上で、自然にクラブヘッドがインサイドから降りてくる。

Y先生は、「最終的に佐藤さんが決めることですけれど、ダウンスイングは左の方がいいですね」というような言い方だった。それだけでも私としては、「メインは左」の意思をほとんど固めていたのだが、もう一人のレッスンプロのT先生(こちらの方が上の先生みたいだった)が私のスイングをみた瞬間「あ、左ですね」と言うことだったので、基本方針はこれで確定した。

「佐藤さんが来る前は、道具とか練習場のこととか普通に考えると、右を勧めようと思ってたんですけどね」とT先生も言っていた。

動画を見せてもらいながら自分のスイングを確認できたのも良かったが、私が最も印象に残っているのは、「佐藤さんは、左下半身が強いんです」というY先生の言葉だった。

前にも書いたとおり、私が今回の実験を始めた目的は、「筋力が弱く、股関節に痛みも走る左脚の弱さをカバーするために、左打ちをする」という仮説を検証することだった。私は、左半身が、右半身に比べて弱いと思っていたのである。だから、フォローで壁を作れない左半身をカバーするため、左半身の役割を「フォロースルー」から、「バックスイング担当」に変えることにしたのである。バックスイングは、スピードという負担がかからない分、フォロースルーよりも左下半身にやさしいと考えた。

しかし、プロの先生方は、結果として左打ちを推奨してくれたものの、その理由は「左脚が弱いから」ではなくて、「左脚が強いから」ということだったのである。

繰り返しになってしまうが

【右打ち】
右下半身が弱いので、バックスイングで腰が右にスライドし、ダウンで右膝が突っ込みすぎる。→アウトサイドインで、プッシュ・スライス(過去の悲しい記憶の再現)

【左打ち】
バックスイングは、強い左半身にしっかり乗れている。クラブはインサイドから降りている。しかし、右半身が弱いので、インパクトからフォローで右腰が浮き上がりやすい。右の壁をしっかり意識したほうがよい。

ということだった。

私は、もともと左脚を使う方が上手だったらしいのである。実はこれは、三宅接骨院の三宅先生にも指摘されたことだった。三宅先生には、今年の1月から、左の股関節の痛みについて見ていただいている。もちろんゴルフのこともお話している。

そのうえで三宅先生は「左の方をよく使っているから、左の股関節が痛むんですよ」とおっしゃっていた。

私として、「なるほどそうだったのか」とも思うのだが、一つ疑問がある。それは、私の脚は右脚の方が太いわけである。大腿四頭筋はあまり変わらないが、裏側の二頭筋の発達が全くちがう。

合気道をはじめて半年くらいたったころだろうか、私は自分の脚の筋肉の発達が左右であまりに違うことに気がつき、驚いた。そして同時に恥ずかしかった。

身体運用というのは、基本シンメトリーであるべきはずのものなので(むかし『シンメトリーな男』という本が話題になったけれど)、どちらかだけに筋肉の発達が偏っているというのは、身体の動きに強い癖があるということである。

その時点で31歳だった私は、それまでどのように身体を使ってきたのかと思うと、(「筋肉の発達の違い」という疑いようのない結果が、意識と無関係で起こっていたからこそなおさら)とてもショックだった。

それから合気道の稽古では、受け身をとって起き上がるときも左右交互の脚を使って立ち上がることを心がけたりした。それから12年ほど時間が経ち、大腿二頭筋の発達の左右差はだいぶ少なくなったが、やはりいまでも右脚の筋肉のほうが大きいのである。

受け身が苦手なのも左半身であり、受け身を取り損なって鎖骨を骨折したのも左半身だった。私は、手は左利きだが、身体全体としては、左半身の方が弱いと思っていた。

しかし、三宅先生の見立てや、ゴルフのレッスンプロの言葉からすると、筋肉の発達は別にして、私が上手に使えるのはやっぱり左半身らしい。

たしかに、今現在、合気道で、転換(合気道の基本動作)をしやすいのは左脚を使った場合である。

ひょっとすると、合気道の稽古を続けてきたことで、ようやく「本来得意だった左下半身を使えるようになってきた」ということなんだろうか。それで、どんどん使うようになったから疲労が蓄積し、左の股関節が痛むのだろうか。

しかし、そんなことってあるのだろうか。もともと利き手・利き足というものは、最初から上手に使えるものなんじゃないだろうか。

しかし、もしもそれが本当だとするならば、私は自分の右脚が愛おしい。私の右脚は、もともと不器用なのに、筋力が弱くて上手く働くことのできない左脚(当社的なガラスのエース)を40年にわたってカバーし続け、筋肉を発達させたのである。右脚は左脚をかばい続けた結果、用心棒的に身体が大きくなったのだ。ありがとう、右脚くん。これからもよろしく頼むよ。

左脚くん、私は君を見くびっていた。すまなかった。これからは君のことを全面的に信頼する。これからは君のリーダーシップにゆだねたいと思う。袴に脚を通すときは、いつも君からだ(もっともこれは、古来からの決まりだが)。

というわけで、武道やゴルフの稽古はこれからも続く。

ゴルフは、そのうちラウンドしてみたいとも思うが、しばらくは素振りと月に1度の打ちっ放しくらいがよいと思っている。それで十分楽しいし、気づくことが沢山ある。

余談だが、私は藤田光里プロを密かに応援している。筋肉がないのに、飛ばし屋らしい。今シーズンのツアー初優勝を期待している。

【備忘録の追加】
右打ちのときに、アドレスでグリップの右手が緩い感覚は、むしろノーマルらしい。左打ちでは、上からかぶせる左手の握りが強くなりがちなので注意が必要。

また、左の肘もつっぱりやすい。適度に緩める(武道と一緒)。

基本、肘のラインは、肩のラインと同様に、ターゲットに対してスクエアになる。