2月15日 「合気道当事者研究特別版をする」

2月15日
朝から、日曜日の下川正謡会新年練習会の準備。二組ずつの着物、袴、謡本などを用意する。昼には、呉服の松美屋さんが朝日ヶ丘ホテル(私の家のことです)に来られる。

芦屋ラポルテ本館に店をかまえていた松美屋さんは、ご主人の腰痛が悪化して、昨年の夏に店をたたまれた。扱っている反物は、流行に左右されない古風なものばかりで大変品がよく、短い時間ながらも我々家族は世話になった。

お知り合いの車に同乗され、杖をついて拙宅にこられた松美屋さんに、無地のお召しの誂えを注文した。これは宴席や茶事で身につける予定。

こちらから依頼した話ではあるが、本音を言うと、このような来訪に対して「やっぱり生地が気に入らないのでいりません」とは言いにくい。気に入ったものが見つかり、また、想定の範囲内で事が収まって正直ほっとした。

 

その後、18時からのイベント参加者に食べてもらうおにぎりをローソンで大量購入してから凱風館へ。

合気道の稽古終了後は、合気道当事者研究特別版を行った。ゲストは、べてるの家の向谷地宣明さん。私に宣明さんを紹介してくださった、漫画家の一ノ瀬かおるさん、池田市のグループホームむつみ庵の酒井さんも来られた。

急遽、別のご用事で神戸に来られていた、向谷地生良さん、亀井英俊さんが参加してくださった。向谷地生良さんは、精神科のソーシャルワーカーとして、浦河町にべてるの家を作った方である。

このような形で、内田樹先生と向谷地生良さんにご対面いただく機会ができるとは夢にも思っていなかった(宣明さん、一ノ瀬さんに感謝)。

向谷地生良さんが、べてるのメンバーの皆さんと一緒に始められた当事者研究は、現在、全国各地で行われ、また、「当事者研究に関する研究」も盛んに行われている。

私たちの合気道当事者研究が、当事者研究の「本家」の方々にとってどのようなものとして映るのか若干の心配もあった。

しかし、我々の地道で小さな活動の積み重ねは、私たちなりに何か大切なものを育んでいるという確信だけはあったので、いつも通りの我々のミーティングをそのまま見てもらうことにした。

 

発表者は甲南合気会の田村さんで、テーマは「身体に力が入ってしまうこと」。

合気道を始めてまだ4ヶ月という田村さんの発表に対して、参加されたみなさんから、質問や共感など、興味深い発言が沢山出た。
また最後に、内田師範と向谷地生良さんが貴重なコメントをくださった。

(内田先生は、「悩みと問題」について。向谷地さんは、「カウンセリングと身体性の関係」について。ご自身の体験、当事者研究が生まれた経緯、そして、合気道当事者研究のご感想などをまじえて)

「どのような状況で緊張するか」という話題の時に、べてるの亀井さんが、カフェでコーヒーを運ぶときの状況を例えにして、発言された。

合気道当事者研究において、幻聴の当事者研究の第一人者である亀井さんが発言してくださったときは感慨深いものがあった。私たちのミーティングが、亀井さんに自然に発言してもらえるような場所にまで成長してきたということが嬉しかったのである。

通常の合気道当事者研究は、私が凱風館で稽古枠をいただいている水曜日の夜(気の錬磨稽古・研究会)に、隔週のペースで行っている。2012年の9月に開始して、2013年は22回ミーティングを持つことができた。今年はすでに3回行っているので、この特別版は通し番号で行くと、37回目ということになる。

ここまでこれたのも、私の思いつきで始めた試みにノリよく参加してくださった甲南合気会の仲間と、稽古を温かく見守りつつ、また、ご参加くださったときには毎回貴重なコメントをしてくださる内田先生のおかげです。どうもありがとうございます。

終了後の懇親会(さかなでいっぱいプラス)では、宣明さんから、「合気道と当事者研究のなじみの良さを感じました」というご感想をいただく。今後の継続的な交流についてのお話も出た。大変ありがたいことである。

当事者研究には全国交流会というものがあり、そちらにもよろしければぜひ、とも。

邪魔をしてしまうような気がするが、こちらもチャンスがあれば行ってみたいし、我々の活動の一端を紹介したい気持ちもある。

ポイントは、術技の向上を直接的な目標としてミーティングを行っているわけではない、ということになるだろうか。

もともと、私が合気道当事者研究を始めたのは、向谷地生良さんの「これからは、べてるの活動のあり方が、社会においてどのように生かされるのかについて考えることも大切だと思っている」という言葉に始まっている。
(私はこの言葉を医学書院のケアをひらくシリーズで読んだはずなのだが、どこに書いているのかどうしても探し出すことができない。ごめんなさい)

道場というコミュニティにおいて、「自分自身で、ともに」をキーワードとした当事者研究を行うことは何か新しいものを生み出すのではないか(人間が閉じこもりがちな、自分の殻を破る一つの方法になるのではないか)。そして、この活動は、私に多くの発想と刺激をもたらしてくださった、べてるの家と向谷地生良さんに対する、ひとつの「返事」になるのではないかと考えて、この活動をはじめた。

 

というわけで、邪魔かもしれないですけれど、都合がついたらぜひ全国交流会にも参加させていただきたいと思います。

特別版にご参加くださったみなさま、関係各位に深く感謝いたします。